婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


「お前、ヴェルって言うんだ?」

「ピャー!」

「そう言えば、お礼を言うのがまだだったわ。いつもこの子と遊んでくれてありがとう」

「とんでもない。僕にとっても良い息抜きになっているんだ。やっと名前が知れて嬉しいよ。これからもよろしくな、ヴェル?」

「ピャッ!」

「この子には自己紹介の仕方を覚えさせないといけないわね」

「オディール オディール」と、ヴェルは嬉しそうにレイに向かって鶏冠を広げる。

「ヴェル。オディールじゃなくて、こちらの方はレイモンド・ローラント王太子殿下よ?」

「レイ……ドロンカ!」

「レイモンド・ローラント王太子殿下」

「レイモン ド ローラント オデンカ」

「そうそう。レイモンド・ローラント王太子殿下」

「レイモンド・ローラント ハ オウタイシデンカ ソレダケガトリエサ」

「悪かったな」
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