麻衣ロード、そのイカレた軌跡⓽最終話/魂の交尾
ファーストレジェンド~また猛る季節まで/その13
真樹子


あれは…、その数日後だったわ

「真樹子…、お前にはもう一つ”仕事”を頼みたいんだ」

「私にできることであれば…。何ですか?」

「間もなく俺は、大場と蘇我を連れて墨東本隊に戻る訳だが、その際、組織内の統率は徹底したいんだ。そこで当面、人事配置と組織転換を図る上で、”障害”がある」

「トロイカ体制を敷いた現在のトップ3人ですね、その障害というのは…」

「いや、実際のところは南部だ。他の二人…、積田と高本は何とか丸こめるだろうだが、ヤツだけは簡単に俺の言うままにはならん。でよう、今から手を打っておきたい」

「それを私が…?」

「ふふ‥、お前にしかできない役どころなんでな。実は南部の弟が、4月から黒沼高校へ通うことになったようでな。で…、テツヤとかってその弟、兄貴とは正反対の性格でよう、とんでもない女好きのモテモテ男なんだそうだ」

私は南部さんに弟がいることも、その弟が有名なプレイボーイであることも知らなかったから、ポカンと口を開けて聞いていたわ

...


「…そんで、ソイツを取り巻いてる女達がさ、高校進学のお祝いの会を催すということだ。何しろハンパない数なんで、女たちはいくつかのグループに分かれてさ。その中には、お前の毛色に合った不良娘のグループもその席を設けることになった。そこの場にお前は彼女らの先輩ってことで入りこんで、その色男と”お近づき”なって欲しんだ」

私はのけ反っちゃったよ

まさか、そんな役どころが来るとは思いもしないって

「無理よ、私には。全然適役じゃないでって。わかるでしょ、砂垣さんなら…」

私は苦笑いしながら、はっきりNGを出させてもらった

...


「まあ、最後まで聞いてくれよ、真樹子。あのな…、これもスクープまがいなんだが、南部のヤロウ、こともあろうに南玉の女と付き合ってるらしいんだよ。なんで、あくまで水面下での内偵ってことでコトの実情を掴んでおきたいんだ」

「えー?」

私は仰天のあまり、咄嗟にそう大声をあげちゃったわよ

「…しかもお相手は、3年の幹部クラスってことだ。テツヤの”彼女”どもには、お前をうまい具合に引き合わせて持って行く手はずで言いつけてある。お前はあくまで、彼とそれなりに接点を取り続けてくればいい。で…、”時期”が来たら、弟に南部の彼女が南玉の女だってことの裏を取る。フン…、敵対する女勢力の幹部と恋仲なんて公になれば、これはもう組織を売ったスパイ行為に等しい。ヤツを糾弾するネタとしてはこれ以上ない。そうだろ?」

確かに”そうなれば”、南部さんは失脚するよ

エゲツない手段だが、砂垣さんからすれば南部さんの墨東会での影響力は目の上のたんコブだから、何としても彼を抑える必要があるんだろう

「まあ、そうですね…。でも、あの人格者ってもっぱらの南部聖一が…。信じられないけど…」

結局、私は”その仕事”を引き受けることにした

そしてこの決断が、私の運命を変えるきっかけになったんだよね




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