麻衣ロード、そのイカレた軌跡⓽最終話/魂の交尾
ファーストレジェンド~また猛る季節まで/その3
真樹子


そうか…

南玉は麻衣さんとドッグスの復帰を認めた訳ね

「…麻衣のヤツさ、まるで子供のように喜んでたよ。また南玉で”やれる”って、はしゃいでた。全くさ、自分が今までどんなに滅茶苦茶なことやらかしてきたのか、わかってるのかねえ…(苦笑)。やっぱりイカレてるとしか言いようがないわ」

三田村さんは受話器の向こうで盛んに苦笑いしながら、私へ一報を入れてくれてね

「…マキはあんまり嬉しそうじゃないようだね」

アンコウがカマをかけてきたわよ

...


「私は今日、南玉連合が麻衣さんの出戻りを否決させるのを願ってましたよ。正直、がっかりです」

「まあ、そういうアンタの気持ちを承知してたからさ、あの子、マキには私から伝えてくれって気を回したんだろうね。きっと」

「ええ、そうでしょうね。私は麻衣さんの気が知れません!」

なんだか、この時の私は執拗なまでにムキになっていたわね

要するに、祥子とドッグスはともかく、麻衣さんに対しては南玉メンバーも断固拒絶するものと見込んでたから

麻衣さんの自身を巡る楽観視は叶わないだろうって、私もそう”楽観視”していたんだもの…

だから、私としてはショックよ!

...


「マキ…、私にはあんたのその思い、なんとなくわかるよ。なにしろ、今回はマキが抱いてきた積年の悲願が達成できる、千載一遇の局面まで持ってこれたんだろうからね…」

ふふ…、そうよね…

三田村さんは”そのこと”、良く承知してるもんねー

よし、ここで私もカマをかけてやろう

「当然、先輩も同じだと思ってましたけど。どうなんですか?麻衣さんと私たちは、これまで正義感ツラで都県境を我もの顔の振る舞い三昧だった紅組・南玉ラインを崩壊できるところまで追い込めたんですよ。それを、トドメ刺さないどころか、奴らが再興するきっかけまで与えちゃって…。こんな絶好の機会を掴んでながら、もったいないと思ってないんですか?」

「まあ、思うわないことはない」

全く…、なんとも人を食った物言いね(苦笑)

この人らしいけど…

...


この人と私…

共にこれまでずっと胸に描いた願望…

今夏の我々のムーブメントによって、実現する直前までたどり着けたのに…

フン…、思い出すわよ

三田村峰子と出会った頃を…






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