再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
施設内の通路の両脇にはお店が並んでいるので男の逃げ場はひとつだけ。私の座っているベンチの前を通っていくとわかり、あの男を止めなければととっさに正義感が湧いた。
こんなとき父のように柔道が強かったら、あの男の腕を掴んで投げ飛ばせたのかもしれない。でも私は柔道なんて習ったことがないし、なにより男性を力でねじ伏せるのは私には無理だ。
それでもなんとかしてあの男を止めたい。このまま逃がしてたまるか。
警察官として街の平和を守っていた父の背中を見ていたからだろうか。この状況をただ見過ごすことができない。
なんとかしたい……!
気付いたときにはショルダーバッグを肩から外していた。これを男に向かって投げてぶつけるのはどうだろう。
走っている男に当たるかはわからない。それでもなにも行動を起こさないよりは男の逃走を少しでも阻むことができるかもしれない。
ショルダーバッグを両手で持ち、こちらに向かって走ってくる男が目の前を通り過ぎるタイミングをじっと待つ。そしてすぐ近くまで男が来たところで思い切り投げつけた。
けれどタイミングが少し早かったようで、男が走ってくるよりも先にショルダーバッグはポトンと床に落ちた。
男にぶつけるはずだったのに、これだと男の逃走を止められない。
そう思ったときだった。