再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
父に心配をかけさせたくなかったから痴漢にあっているとは言えなかった。
でも犯人が捕まったときに駅員さんが父に連絡をしてすべてを知られてしまった。
どうして黙っていたんだと怒られたが、それ以上に心配されてぎゅっと強く抱き締められたときのことは今でも忘れられない。
そのあとしばらく父は仕事を休んだり、出勤時間を遅らせたりして高校に通学する私と一緒に電車に乗ってくれた。
おかげで電車へのトラウマはもうない。
「そっか。佐波さんらしいな」
英介さんがふっと口元を優しく緩めて笑った。
「あともうひとつ聞いてもいいかな。そのときの犯人はどうやって捕まったの?」
痴漢被害が終わったきっかけを尋ねられているのだろう。
私は一度目を伏せたあと、英介さんに視線を戻す。
「助けてくれた人がいたの。同じ車両に乗っていた男の人が声をかけてくれて――」
たまたま近くにいた大学生くらいの男の人が、痴漢被害に合っている私に気付いて『大丈夫?』と声を掛けてくれた。
それで動揺したのだろう。私に触っていた男の手が慌てたように離れていき、その手を大学生くらいの男の人が素早く掴んだ。
『今この子に触ってましたよね』
大学生くらいの男の人は痴漢加害者の男にそう言うと、次の停車駅で男と一緒に電車から降りた。抵抗する男を引っ張るように連れていき、駅員さんに突き出したのだ。