再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
吊革に掴まっているけれど腕一本では体を支えきることができなくてふらっと転びそうになる。その弾みで隣に立っているスーツ姿の男性にぶつかってしまった。
「すみません」
慌てて謝ると「平気ですよ」と穏やかに返事をされてほっと胸を撫で下ろす。
すると英介さんの方に体を引き寄せられた。片手で吊革を掴んでいる彼が、もう片方の手を私の腰に回して体を支えてくれる。
「ありがとう」
彼の顔を見上げると笑顔を返された。それからなにか気になったことがあるらしく、英介さんが少し聞きづらそうに尋ねてくる。
「そういえば千晶は電車は大丈夫なの?」
唐突な質問に、どういう意味だろうと返事に困っていると、英介さんが付け足すように言葉を続けた。
「高校生のときにあんなことがあったけど、電車に乗るのはこわくないのかなと思って」
そう言われてようやく彼の聞きたいことがわかった。
高校生の頃に痴漢被害に合っていた私がそれをきっかけに電車に乗ることができなくならなかったのか気になったのだろう。
「最初はこわくて乗れなかったけど、電車を使えないと生活が不便だから父と一緒に克服したの」
「佐波さんと?」
「そう。しばらくは一緒に電車に乗ってくれて」