再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


結婚するよりも先に千晶を妊娠させてしまった。

佐波さんはどう思うだろう。順番が違うと叱責を受けるかもしれない。そのときは腹をくくって大人しく投げ飛ばされるしかない。


「千晶。明日だけど佐波さんに挨拶へ行かないか」

「お父さんに?」

「結婚の挨拶と子供ができた報告がしたい」


明日は千晶も俺もまだ休みだ。佐波さんの予定が空いているなら挨拶がしたい。こういう報告は少しでも早い方がいいだろう。


「わかった。お父さんに聞いてみるね」


スマートフォンを取り出して千晶が佐波さんに電話をかけた。明日は特に予定がないそうなので、彼女の実家へ向かうことが決まった。


 *


翌日。

急な来訪にも関わらず佐波さんは俺たちを快く迎えてくれた。

病み上がりで心配だった体調も順調に回復しているらしく、家事や料理なども以前のようにできているそうだ。

リビングにあるローテーブルを囲んで腰を下ろした。俺の隣に千晶、対面には佐波さんが座っている。


「加賀美くんは仕事をしてきたのか?」


スーツ姿の俺を見た佐波さんが尋ねてくる。


「いえ、仕事ではないです」


俺は首を横に振った。

結婚の意思を改めて伝えるために訪れたのだからきちんとした服装をするべきだと思ってスーツを着てきた。

千晶もまた上品でかわいらしいワンピースを着ている。


< 149 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop