再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「まさかついに結婚の報告か⁉」
ふたりそろって普段よりも畏まった服装で現れたのだからやはり佐波さんは察したようだ。
その顔はどこかうきうきしている。おそらく、ずっと言いたかったセリフを言えるときがきたと胸を躍らせているのかもしれない。
佐波さんは俺たちの結婚には賛成してくれると思うが、千晶の妊娠については知らない。
背筋を伸ばした俺は佐波さんを真っ直ぐに見つめた。
「はい、結婚の報告です。その前に……」
無意識に千晶のお腹を見てしまう。それから佐波さんに視線を戻した。
「千晶ちゃんのお腹に俺たちの子供がいます」
「へ?」
佐波さんが口をぽかんと開けて固まる。
しばらくしてから小さな声で「子供……」と呟いた。それからゆっくりと千晶に視線を送る。
「妊娠しているのか?」
「うん、今六週目」
「そうか」
すとんと黙り込んでしまった佐波さん。この沈黙がこわい。
やはり順番が違うと叱責を受けるのだろうか。それも受け入れて挨拶に来た。投げ飛ばされる覚悟もしている。
「――加賀美くん」
おもむろに立ち上がった佐波さんが俺の隣に座った。そして俺の手をぎゅっと握りしめる。
この体勢から投げ飛ばすつもりだろうか。奥歯を噛みしめて、そのときを待つ。