再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


会えばわかるからと英介さんにお父様の写真を見せてもらえなかったけれど、ネットで検索すると警視総監就任時の会見の様子が画像付きで出てきた。

びしっとした制服に身を包んだお父様はすっきりとした一重で、それが表情に鋭さをプラスさせていた。パッと見た感じだと近寄り難さを感じる。

東京都の警察官のトップに選ばれるくらいの人だ。きっと厳格な方なのだろう。

父のようなくだらない冗談は一切言わないと思うし、唇を固く引き結び笑顔もめったに見せることはないと思う。

息子の結婚相手として現れた私を上から下までじろりと見てからフンと鼻で笑うかもしれない。


〝お前のような女に息子はやらん〟


父が言いたかったセリフの逆バージョンが頭に浮かぶ。どうしよう追い返されたら。


「――千晶、着いたよ」


いつの間にか車が駐車場に停まっていた。

一軒家だというのは聞いていたけど敷地がとても広い。家の外観はとても立派で、お洒落な庭まで付いている。

改めて英介さんと私が育った環境の違いを実感した。

私たちは差がありすぎる。結婚を認めてもらえなかったらどうしよう。不安が大きくなっていく。

シートベルトを外す英介さんの隣でしゅんと俯いてしまう。そんな私に気付いたのか英介さんがくすっと笑った。


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