再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
大皿にこんもりと乗ったお母様の手料理を私のためにせっせと小皿に取り分けているのはお父様だ。
東京都の警察トップの方にこんなことをさせてはいけないとあたふたしていると、キッチンから戻ってきたお母様が優しく微笑む。
「気にしなくていいのよ千晶ちゃん。お父さんは娘が増えてうれしいのよ」
「そうよ、千晶ちゃん。父は人の世話を焼くのが好きなの。おせっかいとも言うけどね」
ぼそっと呟いた司さんの言葉に「確かにそうだな」と英介さんが同意する。
そんな会話は聞こえていないお父様が私のために取り分けてくれた料理が目の前に並ぶ。
「英介から千晶ちゃんはつわりがひどいって聞いていたけど食べられるかしら」
お父様の隣に座るお母様が心配そうに私を見た。
つわりはまだ続いているが波があって今日はあまり吐き気を感じない。
それよりも英介さんのご両親への挨拶に緊張していたから、つわりの気持ち悪さを感じなかったのかもしれない。
とりあえずお母様の手料理は食べられそうだ。
「はい、大丈夫です」
「そう? なら良かったわ。でも無理はしないでね」
お母様がパァッと笑顔になった。
昼食は私と英介さん、それからご両親と長女の司さんの五人で食べている。もうふたりのお姉様にも声をかけたが来られなかったらしい。