再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


「住所変わってないよね」


シートベルトの位置がわからずあたふたしていると加賀美さんに尋ねられたのでいったん手を止めた。


「はい。変わってないです」

「了解。ちょっとごめんね」


加賀美さんが運転席から身を乗り出した。私の座るシートに左手を置くと、ずいと距離を詰めてくる。

な、なに⁉

不意に近付いた距離に驚いて思わず体を縮こめた。

すると、爽やかな柑橘系の香りが鼻をかすめ、体をカチカチに強張らせている私のすぐ目の前を加賀美さんの右腕が通り過ぎていく。

シュルシュルと引き出されたのはシートベルトで、私の体を固定するとタングプレートがカチッと音を立ててバックルに差し込まれた。

どうやら私がシートベルトに手こずっていることに気付いた加賀美さんが着けるのを手伝ってくれたようだ。


「ありがとうございます」


お礼を告げると、優しく微笑んだ加賀美さんの体が離れていく。


「それじゃあ出すよ」

「はい、お願いします」


ゆっくりと車が動き出した。

車内に流れているラジオでは女性パーソナリティが落ち着いた声でリスナーからのメールを読み上げている。


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