再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
でも、そこには誰もいない。
気のせいだろうか。
敏感になりすぎて勘違いをしたのかもしれない。
再び足早に歩き始めた。
表通りを抜けてマンションへと続く路地に入ると一気に人通りが少なくなる。
すると、背後からコツコツと足音が聞こえてびくっと肩が跳ねた。
歩く足を止めずに振り返るとスーツ姿の大柄な男性がこちらに向かって歩いてくるのが見える。
先ほどの眼鏡の男性とはまた違う人。以前、私の自宅があるマンションのエントランス付近で待ち伏せをしていた男の人かもしれない。
眼鏡の男性の仲間で、私のあとをつけてきたのだろうか。
追いつかれる前に逃げないと……!
とっさに走り出していた。
次第に息が上がり足もズキズキと痛み出す。このまま走っても逃げられそうにないとわかり、建物と建物の間の裏道に逃げ込んだ。
狭い道を進み、途中に置かれているゴミ箱に隠れるように体を丸めて座り込む。
そっと顔を覗かせると、私のあとを追いかけていた大柄な男性が裏道の入口で立ち止まり、きょろきょろと周囲を見回している。
私の姿を見失って探しているのかもしれない。
息を殺して様子を窺っていると、大柄な男性はどこかに向かって走っていった。