再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「スーツを着てる。年齢は三十代くらいで俺より少し上かな。髪色は黒で、前髪を右側に分けてセットしている。あとはシルバーフレームの眼鏡をかけているな」
「誰だろう……」
数少ない男性の知り合いを思い浮かべる。
仕事で取引のある方だろうか。ひとりひとり思い出していると、加賀美さんがメニュー表をテーブルに置いた。
「たぶん知り合いじゃないと思うよ。この店にひとりで来店している人はあまり見たことがないし、そもそも知り合いならこっそりと見てるんじゃなくて向こうから千晶ちゃんに声をかけにくればいいだろ」
「それもそうですよね」
じゃあどうして私を見ているんだろう。
「もしかしてストーカーとか?」
口に出して言った途端にこわくなり、背中にぞわっと冷たいものが走った。
そんな私にあまり強い不安を与えないためか、加賀美さんが優しく声を掛ける。
「ストーカーだと決まったわけじゃないけど、あのテーブルに座る男が千晶ちゃんを気にしていることは確かだと思う。俺たちが入店してからわりとすぐあとにあの男も入ってきたから、もしかしたらずっとあとをつけられていたのかもしれない」
「えっ」
やっぱりストーカー⁉
顔がひきつる。こうしている今も背中に視線を受けているのかと思うとこわくてたまらない。