再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


電車に揺られて加賀美さんの自宅があるマンションの最寄駅で降りた。

今晩の夕食どうしようかなと、冷蔵庫の中身を思い出しながら賑やかな表通りをとことこと歩く。近道をしようと人通りの少ない路地に入ったときだった。

すっと背後に気配を感じ、びくっと肩が跳ねる。


「――こんばんは」


誰かに肩をぽんぽんと叩かれた。「ひぃっ‼」と変な悲鳴が口から漏れて、歩いていた足がぴたりと止まる。

どうしよう、動けない。

声からして男性だろうけど振り返るのがこわい。

もしかして以前私のあとをつけてきた男の人たちだろうか。警戒していたはずがあれからなにも起こらないのですっかり油断していた。

この路地だって人通りが少ないからひとりのときは通ってはいけないと加賀美さんに言われていたのに。

とにかく逃げないと。

体、動け!

自分を奮いたたせてなんとか足を前に出した。そのまま全速力で走り出す。


「ちょっと待って。俺だって」


後ろから聞こえた男性の声が私のことを呼び止めている。


俺って誰!?


「知りません。ついてこないで」

「だから俺だって。逃げないでよ」


男の人が追いかけてくる。

こんなときに私の足元はヒールのあるパンプスでとても走りづらい。あっという間に男の人に追いつかれてしまった。

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