再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


「私の方こそバッグを振り回したりしてすみませんでした。痛かったですよね」

「それは大丈夫なんだけど、それよりも――」


及川さんがゆっくりと歩き出す。


「加賀美先輩から聞いたよ。今一緒に住んでるんだってね。俺も同じマンションだから送るよ」

「えっ、 同じなんですか?」

「そう。ひとつ下の階。この前はカレーご馳走さま。めちゃくちゃ美味しかった」

「お口に合ってよかったです」


そういえば以前、加賀美さんが及川さんにお裾分けするからとカレーをタッパーに詰めてふらりとどこかへ行ったっけ……。

近くに住んでいるのかなと思ったけど、まさか同じマンションのひとつ下の階だったとは。

先を進む及川さんを追いかけて隣に並んだ。


「加賀美さんももうすぐ帰ってきますか」

「先輩はまだかな。あの人最近帰り遅いでしょ」

「そうですね」

「先輩の部署今忙しいらしいよ」

「なにかあったんですか」

「ん〜。それは言えない」


及川さんは人差し指を口に当てて、ごまかすようににこりと笑った。

加賀美さんと晴れて恋人になった翌日――日曜日なのに加賀美さんは呼び出されて職場に行ってしまった。

夜になると帰ってくるけど遅い時間で、翌日も朝早くに仕事へ向かう。

そんな生活だからせっかく恋人同士になれたのに同じ家にいてもすれ違いの生活が続いていた。


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