【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

 ——ジルベルトと、同じ礼服……?

 マリアの目にとまったのは、ジルベルトが着ているものと良く似た漆黒の礼服。顔のまわりを囲む襟はジルベルトのものほど高くないが、襟元には金色の鷲のブローチがきらめく。

 フェリクスは足の痛みを必死で堪えながら、身体ごと固まっているマリアに笑顔を向けた。

「初めまして、マリアちゃん。フェリクス・ドゥ・ライデンベルクです。帝都の別邸にいる父は健在で公爵家の領地運用もしているが、心労が重なって精神を病んでしまってね。二十二歳の若輩の僕が公爵位を継いだってわけ。あー、そんなに緊張しなくてもいいんだよ?! 座って、楽にして?」

「はい……」

 楽にして、と言われたけれど、恐怖心と緊張で消え入りそうな声しか出ない。

 ——お願い。(ひる)まないで、マリア。
 帝国は今でも雲隠れした王女を探している。わかっていた事よ?! 今更、動揺なんて……っ。気持ちを立て直して、フェリクス公爵様にきちんとお礼を言わなくちゃ……!

「って、どうしたの? 怖い顔をして」
「いっ、いえ……! 公爵様とお聞きしていたので、もっとご年配の方だと……」

 鼓動の乱れを抑えようと呼吸を整え、マリアはどうにか笑顔を取り繕う。

「フェリクス公爵様。ラムダさんは、私にとても良くしてくださいます。ラムダさんをご紹介くださって、有難うございます……!」

「ラムダ、今の聞いたか?! 可愛いマリアちゃんが僕に感謝している! 嬉しいなぁ」

「……は?」
 ラムダはあからさまに眉をひそめた。

「マリア様、お座りくださいませ。公爵様のおっしゃる事は適当にスルーで構いませんので」

「ぇ……?」
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