【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「ジルベルト様、少し前に新参の『お茶役』を迎えられたそうなのです。それも充てがわれた者ではなく、殿下ご自身が選ばれたのですって」
「ごっ……ご自身が選んだって、殿下は『女嫌い』のはずでは?!」
「それが信じ難いのですけれど!
女性には心を開かぬと言われるあの皇太子殿下が、なんと『お茶役』を特別に目をかけ、傍目が見ていて恥じらうほど《《寵愛》》なさっているそうなのです!」
エミリオの面輪に血が昇っている。
傍目が見て恥じらうほどの『寵愛』や『溺愛』なんて、女嫌いだと言われるほど無関心で無愛想な皇太子からは想像もできぬ言葉だ。
そして——リズロッテは『皇太子の寵愛』という文言に青ざめる。
『お茶役』とは、いわば夜伽だ。
その夜伽に寵愛を与えるという行為は——まだ清らかな乙女のリズロッテにだって想像に難くない。
「まだ続きがあるのですっ。あのジルベルト様が特別に目をかけて寵愛なさると言うからには、それなりの身分を持つ者かと思っていたら……」
「思っていたら?!」
フィフィーは興味津々だと言わんばかりに顔を寄せるが、リズロッテはもう半分うわの空だ。