【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

「……ぇ? ぁ、はいっ」
「昼食ですが、ホットドックにしませんか?」

 すぐ目の前にある露店の鉄板の上に、湯気を立てたソーセージがずらりと並んでいる。次々と立ち寄る客の相手をしながら、店主は調理に売り子にと忙がしそうだ。

「ほ、ほっ……と?」
「ホットドックです。細長いバンズに蒸し野菜とソーセージを挟んだだけの軽食ですわ」

「私は……よくわからないので、ラムダさんにお任せします。ただ、お恥ずかしいのですが、そんなにお金を持ち合わせていないものですから」

 なけなしの金銭を腰元に忍ばせて来たものの。帝都の物価がどれほどなのか、マリアには見当もつかない。

 帝都の物価、安くはなさそう。
 そんなマリアの心配など、ラムダはどこ吹く風だ。

「マリア様は支払いの事など心配なさらず。今日はめいっぱい、楽しむ事だけを考えていてくださいませ!」

「いいえ、そういう訳には……っ」

 マリアが言い終わらぬうちに、では買って来ますわね! と踵を返す。
 露店に向かう前に、ラムダは護衛の男にも声をかけた。

「あなたも召し上がりますか?」

 男は無言で……小さくかぶりを振る。
 マリアが見ているのに気付いたのか、男は慌てたふうに、またそっぽを向いた。
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