花婿が差し替えられました
博物館を堪能した二人は、王都で人気のレストランに向かった。
その間手はずっと繋がれたままで、クロードはもう一人で展示に夢中になるようなことはなかった。
アリスがやんわり勧めても、クロードは絶対アリスの手を離さなかったのだ。

その後レストランで食事した二人はブティックへ向かい、正装した。
クロードは藍色に金糸で刺繍されたコートを着て、アリスも同じ色柄のドレスを着ている。
明らかに仲の良い夫婦とわかるお揃いの服で寄り添う美男美女のカップルが現れた時、劇場中の視線が二人に釘付けになった。

オペラの内容は良く知られた愛憎劇だった。
ルイーズ王女も同じ演目を鑑賞したらしいが、未婚の王女に見せるには少しドロドロした劇だと思われる。
だがルイーズ王女は色々と背伸びしたい年頃らしく、この演目も自分で見たいと言ったようだ。
アリスは隣で船を漕いでいる夫の横顔を見て苦笑した。
彼は博物館でしゃいでいたから疲れてしまったのだろう。
それに、護衛騎士は激務だとも聞く。
またそれにも増して、クロードを気に入ったルイーズ王女が片時も離したがらないから、彼は常に心身共に気を張っているとも。

(まぁ、この容姿なら仕方ないわね)
ザ・王子なナルシスとはまた違った美貌だが、クロードはとても端正な容姿の美青年だ。
切れ長の目とシャープな顎のラインはとても精悍で、正直、アリスはこちらの方がタイプだと言えた。
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