黒瀬くんは、"あの"一匹オオカミちゃんを一途に溺愛したいらしい。
「それにしても、あの男。黒瀬真中め、アイツは要注意人物だ」
ベッドにバタリと倒れ込んで、ポケットに潜ませていたスマホを手に取る。
そして自分のSNSアカウントを開いて、『黒瀬』とだけ入力すると、トップに現れたあの男のアイコン。
投稿数は少ない割に、フォロワー数はすでに十万人を超えていて、中には芸能人と相互フォローの関係になっていたりもしている。
「……ふん」
なんだか無性に腹が立ってきて、そのままスマホの電源を切った。
物音一つない静かな保健室に、自分の呼吸音だけが聞こえる。
このまま家に帰ってしまおうかとも思ったけれど、サボるとお母さんが鬼になる。
鬼化したお母さんはさすがに怖い。一年のときのように、たかだか一日学校をサボったくらいで五時間以上も永遠と小言を言われるのは勘弁だ。
一限だけサボって、二限からは出席しよう。
そう決めて、私はそっと目を瞑る。
それから三十分間バッチリと睡眠を決めて、移動授業だったのか、誰もいない教室に戻ると、私の机に小さなパッケージと、メモが置かれてあった。
「なんだこれ」