人生模様

別れ時

達也は、だまって難しい顔をしたまま、車を走らせた

終りを感じた…。


そう感じたら、急に不安になった…。


やっぱり…悪魔になんてなれない。地獄の世界には行きたくない…。


そう思った時、達也がつぶやいた…。


「舞…。妊娠なんて嘘だよね?」


「え?なんで?」


「そんな気がしてさ…。」

「うん…。でも、舞ね」


「分かってるよ!そこまで追い詰めたの、俺だよな…情けね〜よ。」


涙がこぼれ落ちた…。


「舞の事、本当に愛してるよ…。」


「だったら、どうして!どうして浮気とかするの?」

「自分でも分からね〜。大事にしなきゃ!って思うと急に窮屈に感じてしまう」

「そんなの、達也、勝手なんだよ!」


「そうだよな…。勝手だよな…。全部、自分でも分かってるけど!どうしようもね〜んだよ」


達也も苦しんでた…。


「舞…。俺ら…。別れよう」


頭が真っ白になった…。


「嫌だ!」


そう叫び、何度も達也を叩いてた…。


達也は、悲しい顔をして、されるがままだった…。


私の手をそっと握り、なだめる様に、達也が言った。

「舞!自信もって生きろ!プライドを持て!舞には、幸せになって欲しいんだよ」


そう言い…。達也は初めて涙を見せた…。


「達也…。」


達也の、涙で我にかえった

車から、そっと降りて、無言で立ち去った…。


暗闇のどん底に突き落とされた気分だった…。


その時、達也の言葉が浮かんだ…。


「自信を持て!プライドを持て!」


なんだか…。一筋の光が見えた気がした…。
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