【コンテスト作品】私の恋人の裏の顔は、最低な詐欺師でした。

意外な結末



 しかし、その瞬間ーーー。

 家のチャイムが鳴り響いた。

「チッ……誰だよ、こんな時に」

 バツが悪そうな顔をする拓斗は、「ここで待ってろ。すぐに殺してやるから」と言って私から離れ、玄関の方へと歩いていく。
 そして玄関が開くと、そこにはーーー。

「清瀬(きよせ)拓斗さんですね? 警察です」

「はっ?」

 なぜか、警察がいた。

「一ヶ月前の詐欺事件について、お話を伺いたいので、署までご同行願います」

「な……なんだと?!」

 警察がいることに驚く拓斗の背中から、私は「た、助けてください! 私、この人に殺されそうなんです!」と叫んだ。

「この人に包丁向けられて、殺してやるって言われて……。私、怖くて!」

「ほお……殺そうとした?」 

「いや、違っ……これは……! ケンカです!ケンカ!」 

「本当なんです! 信じてください、刑事さん!」 

 慌てふためく拓斗に、警察は手錠を取り出し「清瀬拓斗、詐欺容疑及び、殺人未遂の現行犯で逮捕する」と拓斗の両手に手錠をかけた。

「大丈夫ですか?」

 もう一人の警察が私に声をかけてくれる。

「はい……大丈夫、です」

「立てますか?」

「……はい」

「すみませんが、あなたにも詳しいお話を聞かせてもらってもいいですか?」
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