ー野に咲く花の冒険譚ー
「ここか」



僕は空き地とも荒野とも呼べる場所で足を止める。

確かに一本,男が言う通りの木が生えていた。



「いけるのか? タルト。確かにこんな場所で元気のあるものでもないが,そこそこに太い」



気を切り倒す経験のない僕には,それがどれ程の物なのか分からない。

僕がタルトへ首を向ければ,タルトは余裕だと笑う。



「道具貸してくれるんだろ? 俺ので思い切り行ってもいいんだが,それで刃こぼれするのは勘弁願いたい。後々命落としちゃ死にきれねぇからな」

「そこは心配ねぇよ。つってもそんないいもんでも無いけどな。壊れたところでイチャモンだってつけねぇよ」



ぶんと男はキラリと鈍く光るそれを投げた。

噛みつくように僕が叫ぶ。



「危ないだろ! 殆どが刃になってるものを人間に投げつけるなんて,正気とは思えない。それが人にものを頼む態度か? タルトの腕が落ちたらどうしてくれるんだ」
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