ー野に咲く花の冒険譚ー
頼むぞと賭けるように思いながら,僕は足を止めなかった。
ぶつかる,そう思ったとたん,僕の腹が膨れた。
服を突き破り,尖った葉や茎が迫り来るそれを撃退する。
かと思えば久しぶりに見る僕の真っ赤な花が,途端に大きく顔をだし,ぎざぎざの歯を突きだし食らった。
後ろから隊員の悲鳴が聞こえる。
無言ながら,僕も流石に引いてしまった。
思わず足を止めそうになったとき,そんなわけはないが,僕の意思を反映するように花が僕を投げる。
転がり,柔らかい葉に守られ。
僕は家の中へと侵入に成功した。
後ろを横目に見ると,悲鳴を上げなかったアイザとココとタルトが後ろを守ってくれている。
やるな,あいつら。
ココも,弱々しい姿など1つも見せない。
こんな部隊に編成されるような騎士の1人なのだから,勇敢さはもうずっと前から持っているのだろう。
いくつも矢を放ち,なのに。
素早い瞬きで周りを見ては,どうやら指示まで飛ばしていた。
後ろは心配しないでいい。
その事実が,いくらか僕の心を軽くした。