遠き日の忘れ物2 遥かな未来へのメッセージ
 一方、業務提携先と言われていた会社のドライバーは居酒屋をやろうと言い出した。 まあ、悪い話ではない。
しかし本業を棚に上げての話である。 完全に信じるわけにはいかない。
予想通りに2か月経っても話は進まず、いつの間にか消えてしまった。
 実は彼との食事関係の仕事の話はその後も浮いては消え、、、を繰り返すのである。
 そんな中、松村達也は自分の義姉をぼくに紹介すると言ってきた。 突然の話である。
何でも義姉が「そろそろ彼氏を、、、。」と言ったから紹介したのだという。
合う合わないを無視して紹介されたのである。 まあ、ぼくも離婚から6年が経っていたからそろそろいいかとも思っていたが、、、。
「先生も見る目無いなあ。」 彼はそう笑っていたが、紹介された以上は断るわけにもいかないじゃないか。
相当な悪人なら別だが、、、。
こうして松村の義姉、彩音と友達になった。 それからが大変だ。
 松村の妻も含めて4人で飲んだ時のこと、、、。 隣に座った彼女を見てぼくは思った。
(自分の現状をどう言ったらいいのか分からなくてこれまで苦労してきたんだな。)
そんなことが分かってしまったものだから退けないと思ったぼくは思い切って松村に言った。 「お姉さんのことはぼくに任せてくれ。」
その時、一番喜んでいたのは彼の妻、早苗だった。
でもそこに何かをぼくは感じた。 「厄介者が居なくなるわ。」
もちろん、ぼくはそのことについては何も言わなかったが、、、。
 その一年後、彼女はいきなり松村の家を出て行ったのである。 何か有るのか?
伝え聞いたところによれば「彼女は松村の家に居たくなかったんじゃないのかな? だから家出したんだよ。」
その話にぼくはなぜか納得できたのである。 不思議だった。
 松村は彼女をどう思っていたのだろう? その妻はどう思っていたのだろう?
過ぎてしまったことだからどうでもいいと言えばどうでもいい話なのだが、、、。
「あの人は掃除くらいなら出来るだろうけどポンコツだからねえ。」 義姉をそう言っていたことも有る。 (よくもまあ、そこまで言えるな。)
 そんな彼女との繋がりはメールだけ。 何処かで聞いたことが有るような現状にぼくは何かを感じていた。
 そう、妹たちが仕組んだ結婚詐欺である。 あの時もメールで繋がっているだけだった。
でも今回はきちんと相手が居る。 何かが変わってくるはずだ。
でも半年過ぎても思い切った動きは無い。 それでも辛抱強くメールを続ける決心をした。

 岸田内閣はというと参議院選挙後、大きく動き始める。 〈検討の岸田〉と呼ばれてきた岸田首相がはっきりと打ち出し始めたのである。
原発再稼働もそうだし、防衛力強化もそうだ。 トマホークの配備も進んでいく。
防衛費も増額する方向で話が進んでいる。 少しずつ日本が変わり始めた。
 ところが公明党はのらりくらりと態度を示さない。 防衛費もあくまで専守防衛が基本だと言い続けている。
そのうえで彼らがこだわったのは【敵基地攻撃能力】という言葉である。 敵基地とは言わずも知れた中国のことである。
あからさまに中国を刺激したくない公明党は【反撃能力】という言葉をしきりに盛り込んできた。
でも反撃するということは敵基地を攻撃するという意味である。 まだるっこしい言葉遊びはやめてもらいたいものだ。
 全世界ではウイグルジェノサイドに対して抗議が次々と表明されていく。 その中で日本だけは明確な態度を示さなかった。
それが2023年になってもそのまま引きずられているのである。 憂鬱な気分になるのはぼくだけではないだろう。
さっさと連立を解消してもらいたいものだ。 抗議文が可決されないのも公明党が居るからである。

 秋になった。 ぼくが北斗市に引っ越して2年目に入るのである。
秋、10月と言えば思い出すことがあまりにも多い月である。
ぼくが失明したのも10月であるし、創価学会に入ったのも10月だ。
初めて北海道を訪れたのも10月だし、前妻と次女の誕生日も10月である。
その前妻と離婚して6年が過ぎていた。 一人暮らしには慣れているが、それでもやっぱり寂しいものである。
でも彼女はまだまだ具体的に動こうとはしない。 こちらもこれといって動けずにいた。
メールをしても返事が返ってくるまでに何日も待つことだってふつうだし、、、。
(こんなんでやっていけるのか?) そう思ったことも有る。
でも任せてくれと言った以上、見捨てるわけにもいかない。 思いは複雑なままだ。
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