「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~

思っている展開と違うのですが……

「みなもきいて欲しい。最近、王宮内の雰囲気がかわったと思わぬか? 具体的には、明るくなったと感じぬか?」

 国王は立ち上がり、両腕を広げて尋ねた。

 周囲の人たちは、「そう言われてみれば」とか「そのような気がする」などとつぶやいたりささやき合っている。

「ランが孤軍奮闘してくれたお蔭だ。レディどうし、あるいは侍女や執事たちへの陰湿ないじめやいやがらせがどれだけくだらなく、ムダであることを説いてくれたのだ。その地道な活動が与えた影響は、それを行っていた加害者だけではない。被害者、つまり侍女や執事たちにも与えた。これまでの理不尽ないじめやいやがらせに対し、非を唱える勇気を与えたわけだ。彼女たちは、耐え忍ばなくていい。そもそもそういうことには毅然とした態度を取る権利がある、ということを知った。働く者の当然の権利だ。そして、彼女たちはそれを行使した。それが、彼女たちに明るさを取り戻させるきっかけとなった」
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