「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
 力なんてないですって? 彼は、何も知らない。何も知らないのにそう断定する。毎日一日の大半を祈りの間にて祈り続ける。それにより、このウイルクス帝国を護り、慈しんでいるのだ。

 だけど、その毎日一日の大半を祈り続けるという行為が、どれだけの苦行かあの男にわかるわけがない。 実際、やってみないとわからないのだ。

 すべてをガマンし、耐え忍び続けた結果がこれ。

 婚約者とは名ばかりの愚か者は、遊び相手のレディと公に付き合いたいが為に、このウイルクス帝国建国の式典のパーティーで宣言した。

 この茶番がどれだけ愚かなことか、彼はちっともわかってはいない。

 それはともかく、とにかくわたしの精神は切れた。精神が切れたというよりか、心と頭がキレたと表現した方がいいかもしれない。

 どうでもいいと思った。

 そして、瞬時に決意した。
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