「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
「大聖母」というよりか、いい人であることに、良き側であることが報われないのなら、まったく正反対の存在にポジションチェンジしよう、と。

 つまり、いまこの瞬間から悪女になろうと。

 チャラチャラしたご令嬢たちの間で流行っているという「悪役令嬢」を目指してみよう。

 そう決意した。

「おおいに結構ですわ。望むところ、というべきかしら」

 いままでは、話をするのも一苦労だった。小声でやさしく、かつ穏やかな話し方でなければならなかったから。

 だけど、いまはそう演じる必要はない。

「皇太子殿下に失脚を。皇族が破滅しますよう、心よりお祈り申し上げます」

 低く唸るような声で宣言した。

 これまでの声質とはまったく違うので、よりいっそう不気味かつ不吉な響きがあったはず。
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