12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
「お前の真面目さを俺は好ましいと思っている。真面目と言うより頭が固いと言うだけだが」
「何です、文句があればどうぞ」
褒めて落とされたので思わずムッとして返す。
「俺を愛しているのかわからないなら、付き合って見れば良い」
自分でも相当に驚いた顔をしたと思う。
なのに光生さんの表情は真面目で、そんな顔をまじまじと見てしまった。
「・・・・・・初歩的な質問良いですか?」
「初歩的?」
私の言葉は光生さんの返事になってなかったし意味もわからなかったのだろう、急に不審そうな顔をされた。
「光生さんって、私のことを愛してるんですか?」
突然時間が止まったようだ。
二人ともぴたりと動かず、光生さんは目を丸くしたまま固まっている。
隣を車がたまたま通ったことで、どうやら時間は止まっていないことを知った。
「・・・・・・愛、愛、ねぇ」
口元に手を当て、難問でも解くように光生さんが唸っている。
だってこちらは告白されたわけで、愛がわからなければ付き合って見れば良いと言われたのだ、前提として光生さんは私を愛していないとおかしいのでは?
じっと薄暗い車内で光生さんの顔を伺うように見ていると、ふと目が合った。
そしてじっと目を見つめられ、何だか怖いという感情と、やっぱり顔が整ってるなこの人、と頭の中でぐるぐるしていた。