12上の御曹司と女子高生は愛を育めない


「あぁ、もちろん。今日から紫央里は正式に俺の彼女だ」


弾む声と言われた言葉に、自分の顔はかなり熱を持ってしまう。
なんと返せば良いのかわからず、俯きながら小さく頷いた。

最初この公園で出会い、そして嘘の交際相手になり、からかうように私に接してきた人。

身勝手で俺様で。でも仕事は一生懸命で、そして寂しい過去と一人で立つことを余儀なくされた、御曹司という責務を背負っている人。

方やただの女子高生。端から見ればきっと認めてもらえない組み合わせだ。


「さて。これから紫央里のご両親に挨拶に行くか」


車のエンジンが急に大きくなって私は現実に引き戻された。
いやいやいくらなんでも早すぎるのでは?!


「待ってください、いくらなんでも急すぎて」

「これからお前と出かけるのにデートだと誘えないのは面白くない。
それに年齢を考えてご両親も心配されることもあるだろう。
門限と、そして18歳になるまで性行為は行わないことを伝える必要がある」


真顔で言われた言葉に口が震えた。
とても、とても最後の言葉は言えない。
いや、付き合うと普通起きるイベントだとは理解しているけれども!


「ま、待って光生さん」

「シートベルトつけろ、行くぞ」


既に車が動き出し慌ててシートベルトをしながら、


「少しは人の話を聞けー!」

「断る!!
男として筋は通す。こっちはお前より12も上なんだぞ!」

「何で逆ギレしてるんですか!」


そしてその夜自宅に押しかけてきた光生さんは両親に私との交際報告、それも自分では結婚前提の真面目な交際であることを念押しし、さっきの言葉も堂々と言い放ち、両親は硬直して無理矢理交際を了承したような形になった。

17歳の誕生日直前に、12歳年上御曹司の彼氏が出来ました。

・・・・・・前途多難。
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