12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
最初光生さんは誕生日をフレンチレストランとかでやる予定だったようだが、どこもかしこもクリスマスディナーメニューのみ。
光生さんに今日の希望を聞かれたので、普通の誕生日を味わいたいなんて言わず、一切クリスマスを感じない誕生日がしたいというお願いをした。
そこで光生さんのマンションで過ごすことになったのだ。ここなら一切クリスマスなんてもんは無いからと。
ただ家に呼ぶ以上はと律儀に両親に許可を貰うのだから、何というか逆に申し訳ない気がする。
交際相手が社会人ならそんな面倒をかけなくて済んだのに。
「お前が謝る必要なんて無いだろう。
一応、クルージングディナーとフレンチレストランと懐石料理の店も予約していたが、どれもクリスマス一色だったからな」
その内容にギョッとした。
既に予約していた?!キャンセルなんてこの直前に無理だろう。全額払ったの?!
「あぁ、予約した先の心配か?全て部下やその家族が行ってるよ。
行きたいヤツはいるかって言ったら全員手を上げたんで、ジャンケンして決めたようだ」
「そうでしたかって、でも全額光生さんが出したんじゃ」
「既に全て支払い済みだったし、誰か行く方が無駄にせずに済む。
おかげで部下達は喜んだが、一部に不満が残ったんで今度そいつらには飯を奢る約束になった」
何故だ、と面倒そうなため息をついた光生さんに思わず笑ってしまう。
私のために色々気を遣って、お金まで使ってくれて、それを部下の人達に譲ったあげく他の人たちへ気遣いもする、そういう所が優しいと思うし尊敬するところでもある。