12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
「悪い。怖がらせるつもりは無かった。
お前は俺が守る。
だから普通に高校生活を送れば良い。あっという間に三年になるぞ」
格好いい言葉を入れながらそんなことを言う。
随分と最初の頃からに比べて光生さんは変わったと思う。
ついて行けないほど身勝手だった人が、おそらく私の喜ぶことを必死にしてくれている。
それも私の将来を潰さないように配慮しながら。
「光生さん、ありがとうございます」
私は彼を向いて頭を下げた。
「クリスマスを彼氏と過ごしたいという夢が無かったわけじゃ無いんです。
でもやっぱりクリスマスの無い普通の誕生日を今日プレゼントしてもらえたことは本当に嬉しかったです。
出会った頃より何だか頼りがいがある男性のような感じがして、不思議な気分です」
「最後の言葉が余計だろうが」
ムッとされてしまったが、それでもすぐに光生さんの表情は柔らかくなる。
その表情は私までホッとする、凄く好きな表情だ。
「で、お楽しみの誕生日プレゼントはこれだ」
光生さんは立ち上がると、どこからか紙袋を持ってきて私に差し出した。
「誕生日おめでとう」
もう何度目かの言葉。
でも何度聞いても嬉しくて、ありがとうございますとそのプレゼントを受け取った。