闇に咲いた優しさの花

昼休みにて

ガヤガヤガヤガヤーーー……。


昼休みの教室というものは、たいてい騒がしいものだ。

けれど、今日はいつもよりも五月蝿(うるさ)い。

理由は簡単。


「ねぇ!!あの子だよね?!転校生って!!」

「え?!うっそ、めっっちゃ、かっこいい!」


ーーーということだ。私は一番廊下(ろうか)側の席。

嫌でも聞こえてくるこの声を消したい。


…そうだ。一回、意識を集中させて…

キーンと耳鳴りがする。閉じたまぶたの中に、やがてチラチラと(またた)く金色の粉が見えた。

それはやがてか細い糸のようになり、(まゆ)のように絡まり大きくなり…

“邪魔な彼女らをどこかへ!”


私はその繭から出た糸を手繰り寄せるように手を伸ばしそう願う。

そうだ。例の不思議なアレだ。

いつも通り、繭がほどけるように消えて無くなりーーーー

『バチッ』

ーーーーフッーー

え?


嘘…

繭は突然、赤い稲妻(いなずま)のようなものに絡めとられ、光を消した。

ハッと目を開けると、そこには先ほどまでと同じ風景が。


私は目の前の状況が、整理できなかった。

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