君を思い出す季節
ミーンミンミンミン

「あっつーい、、」

今日何度目かのこの言葉を吐き出す

「それなー」

「無理ー夏終われー」

奈美と優奈も続いて言う

今は夏休み真っ只中

なのに私たちは毎日学校に来ている

進学校ゆえに補習が毎日あるからだ

「あー学校も学校よ、なんでこんな暑いのにしかも夏休みなのに来さすかな、うちらの青春どこいった!?」

奈美がそう嘆く

一応私たちの通っている東城高校は県内でもトップレベルの進学校だ

だから夏休みはほぼ全部補習で課題の量も半端ない

でもそんな進学校の雰囲気を感じれないほどの自由な校風で、髪の色は様々、ピアスを開けている人も沢山いる

そしてみんな行事が大好きなのが魅力だ

うちの文化祭は県内のどの高校よりも盛り上がっていると思う

全国でも高い方だろう、

そんな東城高校が私は結構好きだ

「もう夏なんだから彼氏欲しいー!一緒に夏祭り行きたいー!優奈にはいるもんねーかっこいい先輩が!」

奈美が言う

そう優奈は部活の先輩と半年以上付き合っている

「へへ、そーいやなんで別れちゃったの渚!勿体ないなーあんなイケメンで紳士で申し分ないのに」

と優奈

「ほんとなんで?まー渚が決めたならしょうがないけどさー」

と奈美

そう、私、瀬戸渚にはこの前まで彼氏がいた

初めての彼氏、たくみ

たくみとは何も接点がなかった

学年で1番イケメンだとかで有名でなんとなく知っていたけど、

そんな彼と私が付き合ったのは今でも不思議だ

きっかけはたくみが私のインスタのストーリーに反応したことだった

なんの接点もなかったたくみがなんで急に反応してきたのかはわからない

けどそれがきっかけでDMをするようになり、一緒に勉強しようってことになって、3回目会った時に告白された

それが高校1年の11月の話

高校生になって彼氏には憧れがあったし、一緒にいて楽しいしという理由でOKした

でも今年の4月付き合ってから5ヶ月目の日に私から振った

最初は結構引き留められたけど何度か話し合いを重ねて別れた

今思えば私はたくみが好きだったのか分からない

たくみには本当に申し訳無いことしたと思う

彼を嫌いになったわけでは無い

むしろいい人だと思う

でも向こうは私の事大好きでいてくれるけど、私はそれに答えられなくてだんだんしんどくなってしまった

元から私は1人や家族の時間が好きで、次に友達、そしてその次が彼氏だった

けどたくみは常に私を第1優先にしてくれていた

そこがまたしんどくなってしまったのだ

どこからどう見ても完璧で誰もが羨ましがるような理想の彼氏だと思う

そんな彼と見た目も学力も全て平凡な私が付き合っていた事、そして私が振ったことは良く思わない人もいたと思う

まあ校風がいいからいじめとかはないけど

なんでたくみはこんな私を好きだったのか、

今でも不思議だ

「ねー渚は新しい恋する気ないのー?」

「んー今はいいかなー」

そう、今は友達がいれば十分

彼氏なんかいらない
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