君を思い出す季節
「学校楽しい?」
わたしは聞いてみる
「うん普通に」
「そっか」
こんな他愛もない話をしばらく続けた
気づいたら結構時間が経っていて花火開始の放送が流れた
それでも私たちはぽつりぽつりとただ話し続けた
そして空に光が散った
目の前に
大きく
綺麗だった
右隣を見ると花火をしっかりと見つめる吉永の顔があった
しばらく見惚れていた
この時間がずっと続けばいいのに
ただこの横顔を隣で見られるだけで幸せだ
でもその時間は続かなかった
吉永がこちらを向いた
目があった
一瞬だけ
私が逸らしてしまったから
心臓が飛び跳ねる
視線を感じる
「瀬戸さ、好きな人出来た?」
吉永の低い声はそう呟いた