ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~

3. ジャンの正体

「チャコ、久しぶり」
「航平。久しぶり」


 恵と由香に会った翌日。チャコは航平と顔を合わせていた。少し前に航平から連絡があり、連休で帰るという話をしたら、話したいことがあると呼びだされたのだ。


「来てくれて、ありがとな」
「ううん。こっちこそ呼んでくれてありがとう」
「おう。元気だったか?」
「うん、元気だよ! 最近ギター習いはじめてさ、めっちゃ充実してる!」
「そうか。よかったな」
「うん!」
「本当によかった。元気になったなチャコ。お前は笑顔のほうがいい」


 ジャンとのことで落ち込んでいるとき、航平もチャコのそばにいて慰めてくれたのだ。きっとチャコのことを心配してくれていたのだろう。


「航平……ありがとう」
「おう」


 航平は以前と比べて随分と態度が柔らかくなった。前は顔を合わせては言いあいをしていたけれど、今では落ち着いて話をするのが普通になっていた。

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