ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
 ジャンはチャコの手首をつかみ、ずんずんと歩いていく。


「ジャン、どこ行くの?」


 問いかけてみるがやはりジャンは何も言わない。しかたがないとチャコは大人しくジャンについていくことにした。




 歩きはじめて十分くらい経っただろうか。二人は人気のない丘の上に来ていた。


「こんなとこあるんだ。初めて来た」


 丘の上から街の様子を見ると街中の灯りがキラキラと輝いて見える。クリスマスのイルミネーションも混じっていることだろう。その光景にチャコは感嘆の声を上げた。


「うわー、夜景きれいだねー。ジャンが連れてってくれるところって素敵なとこばっかだね!」


 ジャンに向かって微笑めば、ジャンもまた微笑みを返してくれる。素敵な夜景とジャンの微笑みに包まれるその時間はとてつもなく贅沢なものだった。


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