ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「チャコちゃんは音楽が好きなんだねぇ。楽しい?」


 しげさんにそう問われて、チャコは満面の笑みで答えた。


「とっても!」
「そうか。でもね、ステージに立ったら、きっともっと楽しいよ。じゃあ、そろそろ出番だからこっちおいで」


 いよいよ次が出番となり一同はステージの袖に控えた。前の演奏者がその演奏を終え、ステージを降りる。司会者の案内が入り、チャコ以外のメンバーがステージに上がっていく。

 しげさんから順にステージに歩いていく中、一番後ろにいたジャンが振り向き、チャコに拳を突き出してきた。チャコは一瞬驚いたものの、すぐにそこに自分の拳を突き合わせた。なんだか大事な仲間として扱ってもらったようで嬉しい。頑張ってという意味を込めて微笑めば、ジャンもにっと笑ってからステージへと上がっていった。
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