甘い香りが繋ぐ想い
【西門遼河】と掲げられた扉の前で、真夢は呼吸を整える。
意を決してノックをするも返事がない。二、三度繰り返したが返事はなかった。
「いないのか……」
真夢はため息と同時に肩を落とす。
仕方ない、出直そう。
引き返そうとしたその時、また、ふわりと甘い香りに包まれた。
「西門先生?」
ゆっくりと振り返る。
目の前には遼河の姿があった。段々こちらに近づいてくる。
真夢の鼓動は激しく脈打ち始めた。
遼河が目の前で立ち止まり、真夢を見下ろす。
「なんの用だ」
至近距離から発せられた低音ボイスと、相変わらずの冷たい視線に身体が硬直する。
「あ……」
なかなかうまく言葉を発せられずにいると、遼河は呆れたように軽く息を吐いた。
「いつまでそこに突っ立っているつもりだ?」
「あ、はい、すみません。お、お礼を言いに伺いました」
「・・・」
「助けてくださったんですよね?私のこと」
「・・・」
「違うんですか?」
「目の前のチャラい輩が目障りだっただけだ」
「そうですか……」
「用はそれだけか?」
「は、はい……」
遼河がドアノブに手をかける。このままでは、いったい何をしに来たのかわからない。
「せ、先生、フレグランス、フレグランスは何をお使いですか?」
遼河は訝しげに真夢に視線を戻した。
「とても甘い香りがするので……」
一瞬だが、遼河の眉が片方だけピクッと動くのを、真夢は見逃さなかった。
しばらく思案する様子を見せていた遼河がドアを開ける。
「入れ」
真夢に向かい、顎で促した。
意を決してノックをするも返事がない。二、三度繰り返したが返事はなかった。
「いないのか……」
真夢はため息と同時に肩を落とす。
仕方ない、出直そう。
引き返そうとしたその時、また、ふわりと甘い香りに包まれた。
「西門先生?」
ゆっくりと振り返る。
目の前には遼河の姿があった。段々こちらに近づいてくる。
真夢の鼓動は激しく脈打ち始めた。
遼河が目の前で立ち止まり、真夢を見下ろす。
「なんの用だ」
至近距離から発せられた低音ボイスと、相変わらずの冷たい視線に身体が硬直する。
「あ……」
なかなかうまく言葉を発せられずにいると、遼河は呆れたように軽く息を吐いた。
「いつまでそこに突っ立っているつもりだ?」
「あ、はい、すみません。お、お礼を言いに伺いました」
「・・・」
「助けてくださったんですよね?私のこと」
「・・・」
「違うんですか?」
「目の前のチャラい輩が目障りだっただけだ」
「そうですか……」
「用はそれだけか?」
「は、はい……」
遼河がドアノブに手をかける。このままでは、いったい何をしに来たのかわからない。
「せ、先生、フレグランス、フレグランスは何をお使いですか?」
遼河は訝しげに真夢に視線を戻した。
「とても甘い香りがするので……」
一瞬だが、遼河の眉が片方だけピクッと動くのを、真夢は見逃さなかった。
しばらく思案する様子を見せていた遼河がドアを開ける。
「入れ」
真夢に向かい、顎で促した。