甘い香りが繋ぐ想い
武田信玄の娘である松姫とは、信忠11歳、松姫7歳の時に織田と武田の同盟の証として婚約した。
政略結婚であり、お互いの顔を知らないままの婚約ではあったが、文を交わす度に二人は惹かれあい、愛情を深めていった。いつか会える日を心待ちにして……
だが、織田と武田が敵対関係となり、婚約は破談。
信忠は、愛する松姫の実家である武田家を滅ぼさなければならなくなった。
松姫が住む高遠城も例外ではない。
松姫を手にかけることだけはしたくはない。
城主である松姫の兄、仁科盛信に降伏を勧告したが、聞き入れてもらえず、断腸の思いで総攻撃を仕掛け攻め落とした。
戦国の世とはいえ、辛く苦しい決断だった。
もしかしたら、姫の命を奪ってしまったかもしれない。救いようのない苦しみが信忠を襲う。その苦しみから逃れるように心を切り離した。
心を切り離した信忠には迷いがない。逃げ込んだ反信長らを匿い、引き渡しに応じなかった恵林寺に火をかけ、僧侶を含む150人余りもの人々を焼き討ちにした。恵林寺は武田家の菩提寺だ。
松姫はきっと恨んでいるだろう……
だが、突き進むしかなかった。父信長が天下統一を果たし、乱世を終わらせるために。
政略結婚であり、お互いの顔を知らないままの婚約ではあったが、文を交わす度に二人は惹かれあい、愛情を深めていった。いつか会える日を心待ちにして……
だが、織田と武田が敵対関係となり、婚約は破談。
信忠は、愛する松姫の実家である武田家を滅ぼさなければならなくなった。
松姫が住む高遠城も例外ではない。
松姫を手にかけることだけはしたくはない。
城主である松姫の兄、仁科盛信に降伏を勧告したが、聞き入れてもらえず、断腸の思いで総攻撃を仕掛け攻め落とした。
戦国の世とはいえ、辛く苦しい決断だった。
もしかしたら、姫の命を奪ってしまったかもしれない。救いようのない苦しみが信忠を襲う。その苦しみから逃れるように心を切り離した。
心を切り離した信忠には迷いがない。逃げ込んだ反信長らを匿い、引き渡しに応じなかった恵林寺に火をかけ、僧侶を含む150人余りもの人々を焼き討ちにした。恵林寺は武田家の菩提寺だ。
松姫はきっと恨んでいるだろう……
だが、突き進むしかなかった。父信長が天下統一を果たし、乱世を終わらせるために。