甘い香りが繋ぐ想い
夢が誠か
信忠の視界には靄がかかっている。
何も見えない状況の中、誰かの声が聞こえてきた。
「望みを叶えてしんぜよう。但し、そなたの魂は生き続ける。永遠に死を迎えることはない」
必死に姿を探すが、全く何も見えない。
そのうち靄は消え、暗闇が広がった。
信忠は暗闇の中をひたすら歩き続け、一筋の光を見つける。
光の方へ進むと、人影が目に入った。
尼僧だ。
子どもたちに読み書きを教えているようだ。
「信松尼(しんしょうに)さまぁ、できましたぁ」
男児が元気よく尼僧に声をかけると、スッと立ち上がり、男児のもとへ歩み寄る。
「まぁ、上手に書けましたね」
柔らかく、優しい声だ。
そして、何よりも美しい。
尼僧は子どもたち一人一人に声をかけて回る。
決して叱ることはせず、良いところを見つけ褒めている。
子どもたちは皆笑顔だ。
一通り声をかけ終わると、自分の席に腰をおろした。
自ら筆をとり、なにやらしたためている。
信忠はそっと覗き込む。
!!!!!
その文字を目にした瞬間、信忠の心臓が激しく波打った。
姫!
まさしく、その文字は、信忠宛にしたためられた松姫からの文と同じものだった。
美しく、愛しい文字。
信忠は慌てて尼僧の顔に目をやるも、一瞬にして暗闇に包まれた。
松姫の名を呼ぼうとするが、声が出ない。
段々呼吸も苦しくなってきた。
もうダメだと諦めかけた時、信忠は目を覚ました。
「夢か……」
信忠の視界には靄がかかっている。
何も見えない状況の中、誰かの声が聞こえてきた。
「望みを叶えてしんぜよう。但し、そなたの魂は生き続ける。永遠に死を迎えることはない」
必死に姿を探すが、全く何も見えない。
そのうち靄は消え、暗闇が広がった。
信忠は暗闇の中をひたすら歩き続け、一筋の光を見つける。
光の方へ進むと、人影が目に入った。
尼僧だ。
子どもたちに読み書きを教えているようだ。
「信松尼(しんしょうに)さまぁ、できましたぁ」
男児が元気よく尼僧に声をかけると、スッと立ち上がり、男児のもとへ歩み寄る。
「まぁ、上手に書けましたね」
柔らかく、優しい声だ。
そして、何よりも美しい。
尼僧は子どもたち一人一人に声をかけて回る。
決して叱ることはせず、良いところを見つけ褒めている。
子どもたちは皆笑顔だ。
一通り声をかけ終わると、自分の席に腰をおろした。
自ら筆をとり、なにやらしたためている。
信忠はそっと覗き込む。
!!!!!
その文字を目にした瞬間、信忠の心臓が激しく波打った。
姫!
まさしく、その文字は、信忠宛にしたためられた松姫からの文と同じものだった。
美しく、愛しい文字。
信忠は慌てて尼僧の顔に目をやるも、一瞬にして暗闇に包まれた。
松姫の名を呼ぼうとするが、声が出ない。
段々呼吸も苦しくなってきた。
もうダメだと諦めかけた時、信忠は目を覚ました。
「夢か……」