甘い香りが繋ぐ想い
「先生、私を探してくださっていたんですよね?」

「あぁ」

「私は松姫の生まれ変わりなんですよね?」

「あぁ」

「ということは、先生は、私を愛してくれているということですよね?」

「まぁ、そういうことになるな」

「じゃあ、これからも、ずっと愛してくれるということですか?」

「あぁ、そうだな」

真夢はしばらく思案する様子を見せ、意を決したように姿勢を正した。

「だったら、私を信じてくれませんか?」

「信じる?」

「はい。誰も信じられなくなるほど、裏切られ、裏切る。そんな時代を生きてこられたかも知れません。でも、信じて欲しいんです」

真夢のまっすぐな目が胸を打つ。

「わかった。君を信じる」

「約束ですよ。絶対信じてくださいね」

真夢は力強く告げると、研究室から出て行った。

「信じてください、か……」

何が腑に落ちたのかを訊けないままになってしまったが、まぁいい。

逃げ出すこともせず、400年生きてきたことを凄いと褒めてくれた。

松姫ではない、三雲真夢という女性に、遼河(信忠)の気持ちは段々と傾いて行った。

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