甘い香りが繋ぐ想い
「西門先生、お疲れさまです」

背後から聞こえてきた声に遼河(信忠)は振り返る。

「北原さんか、お疲れ」

いつもなら、会話はこれで終わる。
だが、遼河(信忠)は気持ちを抑えられなかった。

「仕事はどうだ?」

まさか、こちらから話をしてくるとは思ってもみなかったのか、あからさまに驚いた表情で言葉を失っていた。

「え、あ、はい、おかげさまで順調です」

「君は学生の頃から優秀だったからな」

瑠璃はおもむろに自分の頬を摘んだ。

「何をしているんだ?」

「夢じゃないのかなと思いまして」

「は?」

「先生からそんな言葉が聞けるなんて思ってもみませんでしたから」

それもそうだろうなと、遼河(信忠)はふっと笑った。
なにせ必要最低限の会話しかしない無愛想で通っているからだ。

「少し時間あるか?」

「え?」

「訊きたいことがある」

「は、はい……」
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