甘い香りが繋ぐ想い
真夢は心を決めた。

まずは自立した女性にならなければ。
そのためには、ちゃんと卒業し、定職に就く。

両親から大学に進学しろと言われた時、どうせなら、やりたかった仕事に就けるよう教員免許を取ろうと考えた。
障害のある子どもたちを支える仕事に携わることが出来たらたらいいなと思っていたが、きっと無理だろうと諦めていた思いが、大学に進学しなければならないという現実によって再び湧き上がった。
幸い、真夢が受験しようとしている大学には、教育学部があり、その中に特別支援教育専攻もあった。
こうなれば、迷うことはない。
この大学一本に絞り受験した。

特別支援学校に就職できるよう、まずは勉強に専念しよう。

3年生になり、教育実習に参加して実際子どもたちと触れ合うと、支援学校で教師をしたいと思う気持ちがより強くなった。

真夢はそのまま突っ走る。そして走り切り、特別支援学校の教員として採用が決まった。

これで卒業できれば、心置きなく遼河のもとに行ける。

卒論をやりながら、新居も決めた。
【ベリーハウス】と可愛らしいネーミングだが、築30年の木造アパートだ。リフォーム済みで、日当たりも良く結構気に入っている。

そして、とうとう卒業の日がやって来た。
レンタルした袴を着付けてもらい、真夢はそのまま急足で遼河の研究室に向かった。
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