甘い香りが繋ぐ想い
卒業式を終え自宅へ戻ると、真夢はキッチンに立ち、料理にとりかかる。
遼河の好みがわからなかったので、とりあえず、自分が得意なものを作ることにした。
和洋折衷なので、何かしら口に合うものはあるだろう。
全て作り終えたところでインターホンが鳴る。
ドキドキしながらモニターを確認すると、待ち焦がれた人の姿があった。
軽く深呼吸をしてドアを開けると、遼河の甘い香りが真夢の鼓動を忙しなくさせた。
「お待ちしていました」
「改めて、卒業おめでとう」
色とりどりのガーベラと、かすみ草の花束が目の前に差し出された。
「先生、私の為に?」
「あぁ」
「ありがとうございます。すごく嬉しいです」
生まれて初めてもらった花束に、目頭がじわりと熱くなる。
「どうぞ入ってください」
「ん?美味しそうな匂いがするな」
「料理を作ってみました。お口に合うかわかりませんが、一緒に食べましょう」
「いいのか?」
「はい!もちろんです。とりあえず、料理を並べてしまうので、先生はそこのソファーに座って待っててもらえますか?」
「いいや、私も手伝おう」
遼河は出来上がった料理をテーブルに並べてくれたりと、率先して手伝ってくれた。
「先生、信忠様の時代は、男性がキッチンに立ったりするなんて、ありえないことだったのでしょう?」
「あぁ、そうだな。時の流れというものは、あらゆるものを飲み込んで、次から次へと変化させていく。私自身もすっかり変わってしまった。正直言うと、あの頃の自分はどこへ行ってしまったのかと思う時が幾度とある。魂は確かに織田信忠だが、肉体が入れ替わる度に、人間性も変わっているように感じるんだ」
「信忠様だけど、信忠様じゃないって感じですか?」
「まぁ、そんなところだ。ほら、せっかく作った料理が冷めてしまうだろう。食べてもいいか?」
「は、はい。食べましょう」
遼河が箸を持ち、吸い物に口をつける。
美しい所作に見惚れてしまった。
「美味いな」
「よかった」
安堵の笑みが溢れる。
遼河の好みがわからなかったので、とりあえず、自分が得意なものを作ることにした。
和洋折衷なので、何かしら口に合うものはあるだろう。
全て作り終えたところでインターホンが鳴る。
ドキドキしながらモニターを確認すると、待ち焦がれた人の姿があった。
軽く深呼吸をしてドアを開けると、遼河の甘い香りが真夢の鼓動を忙しなくさせた。
「お待ちしていました」
「改めて、卒業おめでとう」
色とりどりのガーベラと、かすみ草の花束が目の前に差し出された。
「先生、私の為に?」
「あぁ」
「ありがとうございます。すごく嬉しいです」
生まれて初めてもらった花束に、目頭がじわりと熱くなる。
「どうぞ入ってください」
「ん?美味しそうな匂いがするな」
「料理を作ってみました。お口に合うかわかりませんが、一緒に食べましょう」
「いいのか?」
「はい!もちろんです。とりあえず、料理を並べてしまうので、先生はそこのソファーに座って待っててもらえますか?」
「いいや、私も手伝おう」
遼河は出来上がった料理をテーブルに並べてくれたりと、率先して手伝ってくれた。
「先生、信忠様の時代は、男性がキッチンに立ったりするなんて、ありえないことだったのでしょう?」
「あぁ、そうだな。時の流れというものは、あらゆるものを飲み込んで、次から次へと変化させていく。私自身もすっかり変わってしまった。正直言うと、あの頃の自分はどこへ行ってしまったのかと思う時が幾度とある。魂は確かに織田信忠だが、肉体が入れ替わる度に、人間性も変わっているように感じるんだ」
「信忠様だけど、信忠様じゃないって感じですか?」
「まぁ、そんなところだ。ほら、せっかく作った料理が冷めてしまうだろう。食べてもいいか?」
「は、はい。食べましょう」
遼河が箸を持ち、吸い物に口をつける。
美しい所作に見惚れてしまった。
「美味いな」
「よかった」
安堵の笑みが溢れる。