甘い香りが繋ぐ想い
そう、25年だ。25年も経っているのに、以前瑠璃が言っていたように、不老不死の薬でも飲んでいるのではなかろうかと疑ってしまうほど、遼河(信忠)の容姿はさほど変わっていない。
実年齢を聞けば、皆、驚愕するだろう。

真夢もヨガ教室に通い、美しくあるよう努力している。おかげさまで、彼同様、実年齢よりかなり若く見られているようだ。

離れることなく、寄り添いながら生きてきたが、籍は入れていない。魂が入れ替わる以前の西門遼河には婚約者がいた。本来ならば、彼女と籍を入れていたはずなのだ。

遼河の肉体を借りているに過ぎない信忠は、彼の戸籍をそのままにしておくことを望んだ。真夢もしかり。
子どもを授かることもなかった。
魂と肉体が一致しない所業を神が許さなかったのかもしれない。

自分の子どもをこの腕に抱きたいと思ったこともあったが、もう遠い昔の話だ。

遼河が傍にいてくれさえすればそれでいい。
それで……
< 46 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop