甘い香りが繋ぐ想い
真夢は実家に居場所がない。
そんな真夢を瑠璃はいつも気にかけてくれるのだ。

真夢の両親はお互い再婚同士。
真夢は父親の連れ子だ。実の母親は、真夢が9歳の時家を出て行った。
その後すぐに父親が再婚。まもなく弟が生まれた。
真夢の家族は、弟が生まれてから、彼を中心に回っている。三雲家で真夢の存在は皆無に等しい。

学校に持って行く弁当も作ってもらったことはなく、いつも自分で作っていた。
しかも、母親が起きる前に。
台所に立つ時間が被ってしまうと、あからさまに不機嫌な態度をとられてしまうのだ。
息をするのも苦しかった。

気がつけば、生まれて来るべき人間ではなかったのだと自分自身を卑下するようになっていた。
苦しくて苦しくて、その苦痛から逃れるために、いつか王子様が迎えに来てくれるのだと夢見るようになった。
そうやって心のバランスを保っていたのだ。
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