冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
答えながら日奈子は宗一郎を見る。敬子は
はほかでもない宗一郎の母親なのだ。"すごくいい話"の内容を知っているかと思ったのだ。
スピーカーにしていないというのに、大きくて明るい敬子の声は、静かな部屋の中で丸聞こえである。
彼は今のやり取りでなにかを悟ったようだ。なぜか苦々しい表情になっている。
そうとは知らない敬子はご機嫌で話し続ける。
《じゃあ、ひなちゃんの次の休みをおしえて。お父さんにも同席してもらわなくちゃ。あ、それからこの話は、絶対に宗一郎には内緒でお願いね。知られたら邪魔をされるから》
その言葉に、日奈子はぎょっとして隣の彼を見る。内緒どころか今この瞬間に聞かれてしまっている。それを言わなくてはと思い口を開く。
「あの……奥さま。その……」
だが、なんと言っていいかわからず、口ごもる。
《できれば宗一郎が絶対に実家に帰ってこない出張の日がいいんだけど。ちょっとお父さんに確認してもらおうかしら。怪しまれないように、会社のシステムから見てもらって……》
とそこで、日奈子の携帯は、宗一郎に奪われた。
「ちょっと、宗くん!」
抗議する日奈子をチラリと見て、宗一郎が携帯を耳に当て口を開いた。
「今からふたりでそっちへ行く」
低い声でそれだけ言うと、返事を聞くことなく携帯を切った。
はほかでもない宗一郎の母親なのだ。"すごくいい話"の内容を知っているかと思ったのだ。
スピーカーにしていないというのに、大きくて明るい敬子の声は、静かな部屋の中で丸聞こえである。
彼は今のやり取りでなにかを悟ったようだ。なぜか苦々しい表情になっている。
そうとは知らない敬子はご機嫌で話し続ける。
《じゃあ、ひなちゃんの次の休みをおしえて。お父さんにも同席してもらわなくちゃ。あ、それからこの話は、絶対に宗一郎には内緒でお願いね。知られたら邪魔をされるから》
その言葉に、日奈子はぎょっとして隣の彼を見る。内緒どころか今この瞬間に聞かれてしまっている。それを言わなくてはと思い口を開く。
「あの……奥さま。その……」
だが、なんと言っていいかわからず、口ごもる。
《できれば宗一郎が絶対に実家に帰ってこない出張の日がいいんだけど。ちょっとお父さんに確認してもらおうかしら。怪しまれないように、会社のシステムから見てもらって……》
とそこで、日奈子の携帯は、宗一郎に奪われた。
「ちょっと、宗くん!」
抗議する日奈子をチラリと見て、宗一郎が携帯を耳に当て口を開いた。
「今からふたりでそっちへ行く」
低い声でそれだけ言うと、返事を聞くことなく携帯を切った。