冷徹ホテル王の最上愛 ～天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました～
宗一郎が目を細めた。

「可愛いことを言うからだ。ちょっとコツがあるんだよ。パンケーキとスクランブルエッグくらい練習すれば日奈子にだって上手にできるようになるよ」

「本当？」

「ああ、今度おしえてやる」
　
また彼が差し出すパンケーキを口に入れて日奈子はもぐもぐしながら考える。自分でできるようになったら、毎日この最高の朝食を食べることができるのだ。
　
ぜひおしえてもらうことにしよう。

「日奈子なら、すぐに上手になるはずだ」
　
でもそう言ってにっこり笑う宗一郎に、顔をしかめた。

「やっぱりダメ、私宗くんにおそわって上達する自信ない」

「なんでだ？」

「宗くんは私へのジャッジが甘いもん。できてないのに、できてないってちゃんと言ってくれなさそう」
　
すると彼はベビーリーフを差したフォークを持つ手を止めて、少し考えてから口を開いた。

「……確かに。日奈子が作ったスクランブルエッグなら、どんな出来でも俺にとっては美味しいだろうし」

「もうっ……！」
　
自分のジャッジが甘いことを素直に認める彼に、日奈子は思わず噴き出した。

「それじゃ意味がないじゃない」
　
宗一郎がフォークを一旦置いて、笑いが止まらない日奈子の頭を撫でた。
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