冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「日奈子、そういう会はよくない輩がいるから行くなと言ってるだろう。誘われて断れなかったのか?」
 
渋い表情で問いかけられて、日奈子は黙り込んだ。
 
日奈子が二十歳を過ぎてから嫌というほど言われ続けていることだった。

"酒を飲むのは、信用できる相手とだけにしろ"
 
今まで日奈子はそれを忠実に守り続けた。飲み会は職場の人か友人とだけ。

そのおかげで危ない目にも遭わなかったし、嫌な思いもしなかったのだということを今夜改めて思い知った。

「断れなかったわけじゃなくて、ちょっと行ってみようと思ったの」

「行ってみよう? ……合コンにか?」
 
非難するような響きを帯びた彼の言葉に、日奈子は反発を覚える。なんだか馬鹿にされてるような気分になって言い返した。

「そうよ、悪い? 私だってもう二十六なんだもん。彼氏ができたっておかしくないでしょ?」

「だが合コンなんて場所にいるのは、ろくな奴じゃない」
 
言い切る宗一郎に、日奈子は再びムッとなった。
 
本当は彼氏が欲しいわけではない。

ただ宗一郎に対する想いから逃れたいだけなのだ。日奈子にとっては切実な願いで踏み出した一歩を、まるで無駄だと言われているような気分だった。

「そんなのわからないじゃない」

「事実だ。現にその通りだっただろう」

「そ、それは……。でも宗くんには関係ないじゃない」
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